皆さんはFXトレードを行う際にどの様な資金管理を行っておられるでしょうか。今回の記事ではFXトレードを行う上で何故資金管理が必要なのか、具体的にどの様にすれば良いのか、大損を回避するだけでなく安定性と汎用性の高さを重視した着実に利益を出し続ける資金管理手法をお伝えします。一般的なFXの教科書に書かれているリスクリワード重視型の手法とは異なります。予めご了承下さい。
- 【一撃で重症を負わない様にする】
- 【レバレッジと証拠金の考え方】
- 【トレードスタイル毎の具体的なレバレッジ倍率の目安】
- 【トレードスタイルと通貨ペア毎の決済幅の目安】
- 【エントリーの方向性とポジションの追加方針】
- 【まとめ】
【一撃で重症を負わない様にする】
どれ程大儲け出来る手法であっても一回の損切りで今までの利益を全て失ってしまう様なやり方ではいずれは覆しようのない大損害を被る時が訪れます。その時が来るのは決して極めて低い確率でも遠い将来の話でもありません。何の対策もしなければ近い将来に我が身に降りかかる必然であるとお考え下さい。その為、資金管理を行うべき第一の理由は一撃で重症を負わない様にする事です。一回のエントリーのポジション数量は少なめとし、必ず逆指値を常に狭く設定する事が基本です。
【レバレッジと証拠金の考え方】
あなたは以下の様な言葉を聞いた事があるでしょう。
「ハイレバレッジは危険です。証拠金を多めに入れてレバレッジは低くしましょう。」
確かに何も考えずにハイレバレッジで取引するのは危険です。ですが「ハイレバレッジ=危険。だからやるな。」ではありません。重要なのはレバレッジの倍率よりも自分の総資産に対しての投資金額の多さです。以下の2つのパターンをご覧下さい。
パターンA
総資産1000万円 証拠金10万円 レバレッジ20倍
パターンB
総資産1000万円 証拠金100万円 レバレッジ2倍
パターンAはパターンBの10倍のレバレッジです。ならばリスクも10倍となっているでしょうか。いいえ、同じリスクです。総資産に対しての投資金額は全く同じですから。寧ろ考え方によってはレバレッジが高いパターンAの方が安全とすら言えます。その考え方とは以下の2つがあります。
①【証拠金が多い方が保有出来るポジション数量が多くなりますので、つい熱くなってポジションを入れすぎて結局ハイレバレッジとなってしまう。】
証拠金が多い状態でのハイレバレッジは証拠金が少ない状態でのハイレバレッジより当然ポジション数量は多くなります。人は誰しも判断ミスをする事があります。単に「気をつけろ」ではなく、物理的に危険な行動をとりようがない様に仕組む事で判断ミスをある程度カバー出来る様にすると安全性が高まります。その具体的な方法の一例が【レバレッジを下げるのではなく入金額を減らして証拠金を少なめにして大量のポジションを保有出来なくする。】という方法です。
②【証拠金が多い方が強制ロスカットまでの幅が広いので、損切りを躊躇って含み損がどんどん増大して行く展開になった際の強制ロスカット時の損失が大きい。】
損切りが出来ないトレーダーは沢山います。損切りが出来ないが故に特大の損失を負って相場から永遠の強制退場となってしまった方もおられるでしょう。普段は出来ていても突然相場が荒れてパニックを起こしてしまったり、魔が差して無茶をしてしまって含み損が高額になると「今更損切り出来ない!」という精神状態になる事もあるでしょう。損切りせずにいて建値まで戻る事もありますが、戻らなければ到底受け入れられない大損失が発生する事もあります。決して「自分だけは特別。自分なら大丈夫。」と根拠無く思い込まないで下さい。証拠金が少なければその分強制ロスカット時の損失が小さくなり、強制ロスカットされれば新たにポジションを持たない限りは損失は一切増えません。その為どうしても損切りが苦手だという方は入金額をギリギリまで少なくして敢えてハイレバレッジでトレードする事で損失を小さくするというのも一つの方法です。
証拠金が少なくて済むという事はそれだけ資金効率が良いという事です。レバレッジという制度を上手く利用しましょう。
【トレードスタイル毎の具体的なレバレッジ倍率の目安】
まず自分の総資産の金額を把握しましょう。ここで言う総資産の中に換金性の低いものや金額が不明瞭なものを含むのはお勧めしません。
次に自分がどのトレードスタイル(スキャルピング・デイトレード・スイングトレード)でトレードするのかを明確にし、ポジションを保有している最中にトレードスタイルを変えない事を貫きましょう。特に短期トレードで始めた筈が上手く利食い出来ず建値から大きく乖離した含み損になったので長期投資に変えて塩漬けにするのはやめましょう。度を越えた損大利小となり兼ねません。
証拠金は総資産の20%を上限とする事を推奨します。その上でトレードスタイルに応じたレバレッジの上限を以下の倍率とします。
スキャルピング 15倍
デイトレード 10倍
スイングトレード 5倍
いずれのトレードスタイルでも損切りを徹底して一回の損失が許容範囲を超えない事を守りましょう。
【トレードスタイルと通貨ペア毎の決済幅の目安】
一般的にFXは基軸通貨であるドルを中心に考えます。ドルが主な取引対象となっている場合は通貨ぺアの値幅の大きさは以下の順になる事が多いです。
ポンドドル ≧ ポンド円 > ユーロドル ≧ ユーロ円 > ドル円
毎回レートの変動幅は違うので、ある程度調整は必要になりますが、何の目安も決めていないと適当に決済を行うギャンブルになってしまいます。何の特徴も無い完全なランダムではなく、通貨ペア毎にある程度特徴がありますのでそれを把握した上でのトレードスタイル毎の決済幅の目安は以下の通りです。参考スプレッドも記述しています。単位はpips(1pip = 1銭)です。
もしあなたが利用しているFX業者のスプレッドが参考スプレッドより広いのであれば損益に占めるスプレッドの割合が大き過ぎて好成績であるのに関わらずあまり儲かっていないという結果になり易いので決済値幅を広くするかスプレッドの狭さと約定力の高さを兼ね備えたFX業者に乗り換える事をお勧めします。あなたのトレードスタイルにあったFX業者をお選び下さい。
スキャルピング・デイトレードにお勧め
お勧めのFX業者その1 ヒロセ通商 - テツリュウトレーディング
お勧めのFX業者その2 JFX - テツリュウトレーディング
デイトレード・スイングトレードにお勧め
お勧めのFX業者その3 みんなのFX - テツリュウトレーディング
日本円が主な取引対象となる事もあります。その場合はユーロドルやポンドドルといったドルストレートは対円通貨ペア(ドル円・クロス円)と比べると値幅が小さくなる事があります。取引量が少ない時は突然一方向へレートが大きく動く事もあります。その時の値動きの特徴に合わせて決済値幅を調整しても良いですが、慣れるまでは自分の値幅感と実際の値幅が一致していない時は取引を避けて自分の取引手法が機能し易い時のみトレードを行う事で収益を安定化させる方がお勧めです。
同じ日でも時間帯によって値動きの特徴が異なります。詳しくは以下の記事をご覧下さい。
FXの時間割 時間帯によってこう動く - テツリュウトレーディング
【エントリーの方向性とポジションの追加方針】
秒スキャでの一発勝負であれば逆張りでも構いませんが、基本はトレンド発生中に順張りでエントリーします。一回のエントリーのポジション数量は少なめとし、必要に応じてポジションを追加します。ポジションの追加方法は大きく分けて難平と利乗せの2種類があります。難平は控えめとし、利乗せを積極的且つ慎重に行います。以下の信念に基づいてトレード方針を決めております。
【FXのレートが上がるか下がるかの確率は常に同じ2分の1ではなく、偏りが生じている事がある。それがトレンドが明確に継続している時である。その時にトレンドフォローする事が確率の高い勝ち易いトレードである。】
難平よりもトレンドフォローの利乗せを積極的に行う事で【損切りの時のポジション数量は少ない。利食いの時のポジション数量は多い。】という状態にして利食い幅が小さめでも損切りの金額を利食いの金額が大きく上回る様にするの効果があります。
【難平のやり方と注意点】
ポジションが含み損になっている時にポジションを追加する難平は実は上級者向けで、上手く使わないとハイリスク・ローリターンになりがちです。以下の様な経験をした方は多いでしょう。
「エントリー後、なかなか含み益にならず難平をした。難平したポジションも含み益にならず、それどころか含み損が膨れ上がって行く。」
これはエントリーした方向と反対方向にトレンドが発生している可能性が高いです。つまり逆張りになっています。この状態で難平を繰り返すと急速に含み損が増大するリスクが高く危険であると言えます。トレンドフォローであれば多少間違ったタイミングでエントリーしてもそのトレンドが継続する限りいずれは含み益になります。トレンドが転換する瞬間に立ち会えるのは稀ですので最悪微損撤退で終われる可能性が高く比較的安全です。しかし逆張りは一時的に反転する短い時間をピンポイントで捉える必要がある高難易度のトレードです。特に既に含み損を抱えた状態での逆張り、それも難平をしてポジション数量が多くなっている状態での逆張りとなると難易度が跳ね上がります。【逆張り・難平・損切り遅い】を繰り返すのは悪手の典型です。失敗すると一撃で重症を負います。成功しても失敗した時の損失より圧倒的に小さい利益しか得られない事が殆どです。故に難平は控えめにすべきなのです。
難平をするのであれば順張りでエントリーし、最初のポジションをとった時と同じ方向のトレンドがまだ発生している時に節目で明確に反転した押し戻りを拾うエントリーに限定すべきです。ポジションを持っているかどうかを度外視して分析し、上がると判断したから買った、若しくは下がると判断したから売った。そしたら結果的に難平になったというのはありでも、損失を無かった事にしたいという感情が先走って闇雲に難平するのはやめましょう。尚、難平は難平前のポジションのレートからある程度離してエントリーしましょう。そうしないと一回のエントリーで多くのポジションをとるリスクの高い行為に近い行為となってしまいます。
【利乗せのやり方と注意点】
ポジションが含み益になっている時にポジションを追加する利乗せは、利乗せ出来る状態であるという事はトレンドフォローに成功している可能性が高くトレンドが継続する限りはどんどん含み益が増えて行きます。トレンドに勢いがつくタイミングや一旦反転するタイミングを見極めて積極的に利乗せを行えば【逆張り・難平】とは裏腹に見る見る含み益のポジションが育って行きます。ならばこれをやらない手は無いという事です。ですが注意すべき点もあり、失敗すると【逆張り・難平】を繰り返したも同然の結果になり兼ねません。注意すべき点はトレンドが長く継続するかどうかを見極める事です。利乗せを行う上で最も避けたい事はトレンドの継続時間を見誤り、短時間しか継続しないトレンドでポジションを入れすぎて利食い損ねてしまい、トレンドが反転して底値圏で売りポジションを大量に抱えて、若しくは天井圏で買いポジションを大量に抱えて絶望的に含み損が増える方向にレートが建値から乖離して行くという状態です。これを避ける為に以下の点を意識して順張りでエントリーしましょう。
【上位足のトレンドと同じ方向でエントリー】
上位足の方がローソク足の足型が完成するまでに掛かる時間が長いです。これはトレンドが発生している時であればそのトレンドが短い足のトレンドより長く継続する事を意味します。
【実需の大口オーダー】
実需のオーダーがトレーディング目的と異なる点は為替差益を狙って売買するのではなく、その通貨が必要だから売買するのであって一方向の取引のみで完結する点です。例えば日本の輸出企業は海外に物を売った際に受け取る通貨は日本円ではなく現地通貨です。そのままでは日本で使えません。その為【外貨売り・円買い】を行い日本円に交換します。日本円に交換した時点で取引終了ですからその後【円を売って外貨を買い戻す】という取引を行いません。これが一方向の取引のみで完結する理由です。その為、実需の大口のオーダーがあるレート付近では反転し易く反転する前のレートに戻り難いという特徴があります。つまりそれまで発生していたトレンドが長続きしづらく、トレンドが続く場合であっても大きめの押し戻りをつけ易いので、含み益のポジションを長く保有せず一旦早めの利食いをする事をお勧めします。証券会社等が公表しているニュースを確認すると、どの辺りに大口のオーダーがあるか見る事が出来ます。特にドル円は東京時間(9:00~15:00)に日本の輸入企業が纏め買い、輸出企業が纏め売りしてくる事が多いのでレンジ相場になり易い傾向があります。
【適度に利食いする】
具体的にいつまでトレンドが継続するかは誰にも分かりません。折角含み益になったポジションを損切りで終わらせてしまう事がない様にポジションの一部を利食いしましょう。利食いのタイミングは以下のポイントを狙いましょう。
①ボリンジャーバンド(設定値20)の±3シグマに到達した時
②買いポジションの場合はレジスタンスライン、売りポジションの場合はサポートラインに到達した時
③レート変動の動きが鈍くなった時
④ボリンジャーバンド(設定値20)の基準線の傾きが緩やかになった時
⑤移動平均線(設定値5)から終値が大きく乖離した時
⑥ローソク足が横ばいで推移し始めた時
全部利食いしてしまうと利食いせずにポジション持ち続けていたら大儲け出来ていたチャンスを逃してしまう事がありますので、ポジションの一部を決済してリスクを軽減しつつ着実に利益を確保しましょう。押し戻りを狙って再度順張りでエントリーする事で含み益のポジションを多く保つ事も並行して行うと尚良です。全部決済するのはトレンドの反転を確認してからにしてそれまではとことん利益を伸ばすのが理想的です。最後の利食いは含み益を最大限伸ばして利食いするのではなく、寧ろ含み益が減ったら利食いのつもりで潔く決済する方が無難です。これは一度見た含み益が減ってしまったら心理的に「さっきの所で利食いしておけば良かった」という気持ちが働いてもうトレンド継続の根拠が無くなっているにも関わらず、意地を張って含み益が最大になった時以上のレートまで待つという思惑でポジションを持ち続け、結局損切りしてしまったという結果を避ける為です。特にこの時にそれまでのトレンドに固執して「まだ上昇トレンド継続だ!」などと言って本当は逆張りになっているのに順張りのつもりでポジションを追加しまくり高額の損失を出してしまわない様に損切りだけでなく利食いも早くすべきと認識しましょう。
【損切りはいつもより更に早く】
利乗せであってもポジションを追加する行為であるという点は難平と同じです。難平はある程度下がった所で買い、若しくはある程度上がった所で売りを入れていますので、高値圏での買いや安値圏での売りと比較するとトレンドフォローでエントリー出来ているのであれば含み損になっても比較的建値に戻り易く、戻らなても難平の回数が少なければ損失は小さくなり易い傾向がありますが、利乗せは高値圏での買いや安値圏での売りとなっていますので、トレンドが反転して利食い損ねると重症を負うリスクが高いのです。ポジションを小さくしてリスクを軽減する為に明確にトレンドが反転した事が確認出来る様になる前から分割して早めの損切りをする事をお勧めします。ポジション数量が多ければ多い程損切りを早くして含み損のポジションを膨らませない。これが重要です。
【まとめ】
一撃で重症を負わない様にする事を第一に考え、一回のエントリーのポジション数量は少なめとし、必ず逆指値を常に狭く設定する。証拠金は自分の総資産の20%を上限とし、レバレッジを下げるよりも入金額を減らしてリスクを軽減しつつ資金効率を高める。通貨ペア毎・トレードスタイル毎に予め利食いと損切り幅の目安を決めておく。自分が想定した値幅と実際の値幅に大きな乖離がある時はトレードを避ける。エントリーは順張りで行う。難平は控えめに。ポジションの追加は難平より利乗せを積極的に行う。損切りは早く、利食いも早く。利食いの決済は分割して行う。
#この記事は筆者(tetsuryu)の独自解釈であり内容の正確性を保証するものではありません。