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FXの損切りしないリスクと損切りの戦略

FXの損切りが苦手な方は沢山おられるでしょう。それもその筈、損切りしないと含み損がとんでもない事になるリスクがある一方で、損切りしなくても助かる事も多く、結局どうしたら良いか良く分からないからです。今回の記事は【損切りしないとどうなるのか】【損切りはするべきなのか】【損切りの考え方・やり方・損切り後にとるべき行動】を解説します。

 

 

【損切りしないとどうなるのか】

【致命的な損失を一気に負うリスクが高い】

殆どのトレーダーは最初はローレバレッジでエントリー出来ても、そのポジションが含み損になった状態が長く続くとポジションを追加せずにはいられません。素早い損切りを行えるトレーダーならばこの限りではありませんが、損切りしないと決めたトレーダーはいずれ大量にポジションを入れて解消される見込みが乏しい高額の含み損を抱える時が来るでしょう。

FXで絶対に上手く行く方法は存在しないので、どんなに優秀なトレーダーでも損切りしないとどうしても長期間含み損が解消されない時が来ます。

これは重要度が非常に高い経済指標発表時や薄商いの時でも大量の含み損のポジションを抱えたままになるという事です。重要度の高い経済指標発表時や薄商いを避けるべき理由の詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

FXは何故薄商いでトレードすべきではないのか FXトレードに最適な時間帯と注意点 - テツリュウトレーディング

FXは時として想像を遥かに絶する程の途轍も無く凄まじい勢いで大暴落・大暴騰が起きる事があります。

大量の含み損のポジションを抱えた状態で含み損が増える方向へ急激に動くだけでも充分過ぎる程危険ですが、あまりにも凄まじいレートの急変動の場合はFX業者がレートの配信を予告無く突然停止する事があります

レートの配信を再開した時のレートが停止直前のレートから非常に大きく乖離したレートとなって、本来の強制ロスカットが発生するレートより遥かに不利なレートで強制ロスカットされてしまって証拠金が0どころか高額のマイナスとなる場合があります。

【資金効率が悪い】

ここで言う資金効率が悪いとは、損切りする場合と比較して損切りしない場合は、同じ証拠金でもお金が増える金額が小さい、お金が増える速度が遅い事を意味します。

早めに損切りする手法の場合は、一旦損切りして有利なレートでエントリーし直したり、途転(ドテン)する事で損切りせずに含み損に耐えた場合の含み損の増加を収益に変えたりといった様に柔軟に対応する事が出来ます。

上手く立ち回れば短時間で損失を全て取り戻せるだけでなく、大きな値幅を利食い出来る場合もあります。しかし含み損が解消されるまでひたすら含み損に耐える事を選ぶと、最終的には利食いで終わらせる事が出来たとしても、含み益に戻るまで長時間掛かった場合は建値に戻るまでのレート変動の上げ下げの波に全く乗れずに絶好のチャンスを逃してしまう事になり兼ねません。

【やり直しが効かない】

損切りする場合ですと不適切なエントリーをしてしまっても、軽傷で済む内に損切りすれば早期にやり直しが効きます。しかし損切りしない場合はどんな失敗も受け入れなければなりません。運が良ければ比較的早く建値に戻る事もありますが、運が悪ければ戻る事無くずっと覆せない含み損を抱え続ける事になり兼ねません。

【エントリー根拠が無くなると分の悪いギャンブルになる】

エントリーした時点での根拠が無くなった後は、単なる上がるか下がるかの確率50%の2択に賭けるギャンブルとなります。

根拠が無くなった時点でのポジション損益が含み益ならば決済すれば良いですが、含み損ならば損切りしない場合は含み益になるまで耐える事になります。

ここで重要なポイントは損益±0からの「上がるか下がるかの確率50%の2択」ではなく、マイナスの状態からの「上がるか下がるかの確率50%の2択」となっている点です。これは上手く行った場合と行かなかった場合のレート変動幅が同じ場合は、上手く行った場合の利益は小さいのに対して上手く行かなかった場合の損失は大きいという事です。

しかも厳密に言えば「平等な確率50%の2択」ではなく、上手く行く確率の方が低くなっているのです。

「上昇し易いと言える根拠があったので買いエントリーしましたが、その後、上昇の根拠が無くなりました。」この状態ですと「上昇の根拠は無いが下落の根拠はある」又は「上昇と下落の両方の根拠が無い」のどちらかになっています。前者の場合は含み損が増える方向へ動く確率の方が高いと言えますし、後者は上下どちらに動く確率も同じであっても、スプレッドの支払い等の取引手数料を考慮すれば、やればやる程手数料分だけ損し続けるという事になります。

上記の様にエントリーした時点での根拠が無くなった後は不利な要素満載となります。

ここまでの説明で損切りはした方が良い事がお分かり頂けたと思います。しかし含み損の殆どは最終的には建値に戻ります。それも単時間で建値に戻るだけではなく、当初利食いする予定であったレートまで到達する事もあります。単純に早めに損切りするだけではやる必要の無い損切りを多発させて一向にお金が順調に増えて行きません。その為、損切りは何故すべきなのかの意味を考えてする必要があります。

 

【損切りは選択肢を増やす】

一般的にはFXは勝っている人より負けている人の方が圧倒的に多いと言われていますが、短期間で見れば勝っている人の割合が多いというデータもあります。これは殆どの含み損は損切りしなくても建値に戻る為、「下手な損切りをしたが故に勝てる勝負を負けで終わらせてしまった人」と「損切りせずにいて一時的には確定損益だけ見ればそこそこ儲かっていたが、結局は高額の含み損に耐えきれずに大損害を被った人」この2つのどちらかになっており、後者を選択する人が多いという事です。

損切りの真髄は損失を小さく限定的にしつつ選択肢を増やして有利なトレードチャンスを生み出す事にあります。

早めに損切りする手法の場合は、一旦損切りして有利なレートでエントリーし直したり、途転(ドテン)する事で損切りせずに含み損に耐えた場合の含み損の増加を収益に変えたりといった様に柔軟に対応する事が出来ます。

【例】

133.5で買いエントリー。殆ど上がらず勢いよく下落している最中。現在のレート133.4。

【例】の状態ですと現在のレートより更に下がる可能性が非常に高いと言えます。ならばまだ買いのエントリー根拠が無くなっていなくても一旦損切りした方が得策といえます。

以下に133.5で買いエントリーした後、大幅に下落したが最終的には指値レートの133.6まで上昇したので損切りする必要がなかった事を前提に①【損切りしなかった場合】②【損切りしただけの場合】③【損切りした後買い直した場合】を比較します。

①【損切りしなかった場合】

133.6で利食い。+10銭

②【損切りしただけの場合】

133.4で損切り。-10銭

③【損切りした後買い直した場合】

133.4で損切り。-10銭 133.3で再度買いエントリー。133.6で利食い。+30銭 合計+20銭

殆どの含み損は損切りしなくても建値に戻るという事実を考えれば、短期的には②を選択する事が最も負け易いトレードになるリスクが高いと言えます。

FXの世界で長期に渡って勝ち残る為には上記の①~③の中で③を選択する必要があります。

つまり「損切りは必要。しかし損切りするだけでは不十分。損切りした後の行動が重要」という事です。

【損切りの判断とその後の行動】

損切りすべきかどうかの判断とその後の行動をパターン別に解説します。買いポジションを持っていて含み損であると仮定して説明します。売りポジションの場合も「買いと売り」・「高値と安値」が逆になるだけで考え方は同じです。

【エントリーの根拠は無くなっていないが、含み損が増加する方向へ勢いよくレートが動いている】

勢いよく下がっている最中であれば、ゆくゆくは上昇する可能性が高いと言える局面でも、目先は現在のレートより下がる可能性が高いと言えます。これは一旦損切りして低いレートで買い直せる可能性が高いと言える状況であり、値幅が大きい場合は途転売りして下落の勢いが弱まった所で買い戻し、少なめに買いポジションを入れて思惑通り下げ止まって上昇しつつある局面で買い増しすると良いでしょう。

値幅が小さければ一旦損切りして途転せずに下げ止まりを待って買い直しを狙います。

下げ止まって明確に上昇している事が確認出来るのであれば一旦損切りしたレートより高いレートでも買い直す覚悟も必要です。

【エントリーの根拠が無くなっており、含み損が増加する方向へ勢いよくレートが動いている】

すぐに損切りしないと危険な状況です。まず損切りした上でエントリーの方向性を再度分析します。方向性が不明な場合は様子見となりますが、値幅が大きい場合は分析前に少なめのポジションで売りを入れておいても構いません。

売りエントリーすべきと判断した場合に、まだ勢いよく下落している最中ならば、すぐに売りエントリーします。

売りエントリーすべきと判断したが勢いが無くなっている場合は勢いが付くのを待ってから売りエントリー。又は下落基調が鮮明になってから戻り売りを狙います。

【エントリーの根拠は無くなっていないが、レートがあまり動かない】

大きく動き出した時に含み損が減る方向へ動く可能性が高いので、この時点ですぐに損切りする必要はありません。

但し、動き出した方向が含み損が増える方向であった場合の事も考え、含み損の急激な増加を初期段階で止めれる様に安値更新時にすぐに損切りする体勢に入っておきましょう。

損切りとなった場合にまだエントリーの根拠が無くなっていないのであれば、下げ止まりを待ってから再度買いエントリーを狙います。

【エントリーの根拠が無くなっており、レートがあまり動かない】

損切りして様子見し、動き出した方向へ順張りする事を考えます。この時、執行足(エントリーする際に主に見ている時間軸のローソク足)の方向性だけでなく、上位足(執行足より長い時間軸のローソク足。例えば執行足が5分足なら1時間足など)の方向性も確認して、執行足と上位足の方向が同じであれば上手く行く可能性が高くなります。

【エントリーの根拠は無くなったが、レートが含み損が減る方向へ順調に動いてる】

安値を割り込んで下落する動きになると再び含み損が増える方向へ進み易くなるので、そうなったらすぐに損切りする用意をしつつも、今はまだ損切りせずに含み損が減少している間はポジションを保有します。

損切り後、上値が重いままなら売り目線に変えます。下落の勢い強いならばすぐに売り、弱いならば戻り売りを狙います。

【まとめ】

損切りしなくても短期的には勝てる可能性が高いが、長期目線で考えると非常に危険。資金効率も悪い。

損切りはするべき。しかし損切りするだけでは不十分。損切り後の行動が重要

損切りすべきかは「エントリーの根拠が無くなっていないか」、「レート変動に勢いがあるか」で考える。

損切り後はエントリーの根拠が無くなっていなければ有利なレートでエントリーし直す事を考える。無くなっていれば損切りしたポジションと反対方向のエントリー根拠を探して見つかれば順張りでエントリー。見つからなけらば様子見する。

 

 

#この記事は筆者(tetsuryu)の独自解釈であり内容の正確性を保証するものではありません。