カナダの通貨であるカナダドルはFXでは「CAD」と表記されます。カナダドルとアメリカのドルの組み合わせは「USD/CAD」、カナダドルと日本円の組み合わせは「CAD/JPY」です。
【カナダは資源大国】
カナダは先進国の中でトップクラスの潤沢な資源を保有しております。 カナダドルは資源価格全般と相関関係にありますが、特に原油の埋蔵量・生産量が非常に多く、カナダドルと原油は非常に高い相関性があります。
【アメリカ経済と強い結び付き】
カナダはアメリカ以外の国との貿易量と比較してアメリカとの貿易量がダントツで多いという特徴があり、アメリカの景気の良し悪しやアメリカとの関係が良好であるかどうかの影響を強く受けます。
【株価と相関性が高いリスクオン通貨】
世界全体が好景気の時程消費が活発になり、それに伴い資源価格が上昇して資源輸出国であるカナダの経済はどんどん潤って行きます。
景気が良いという事は企業の倒産リスクが低下し、業績が向上して行く可能性が高まる事に加えて、それらの企業へ投資する余剰資金を確保し易いという事でもあります。つまり株価が上昇します。
好景気による資源価格の上昇と株価の上昇は連動する事から株価が上昇して行く傾向が強い時はカナダドルも上昇する傾向が強くなります。カナダドルはリスクオンの時に買われ易いという事です。逆にリスクオフムードになるとカナダドルは下落傾向となります。
【カナダドルでのトレードの基本戦略】
カナダドルは世界全体が好景気で原油を始めとした資源価格とカナダの景気が上向きの時に買うのが基本です。
その他確認すべき点はカナダの金融政策と金融政策に大きな影響を及ぼす経済指標、最大の貿易相手であるアメリカ経済の良し悪しとアメリカとの関係が良好であるかどうかです。
スプレッドが広めである事と他のメジャーな通貨よりも値動きの頻度や値幅がやや小さめである事からスキャルピングはお勧めしません。
【通貨ペア別トレード戦略】
【ドルカナダドル USD/CAD】
カナダはアメリカ経済に大きく依存しており、アメリカ経済が良好であればカナダ経済も良好となります。基本的にはアメリカ経済が不調の時にカナダ経済だけが良好という状態にはならないと考えます。従ってドルとカナダドルのどちらか一方のみが強く買われる・売られるという展開にはなり難く、ドルカナダドルは値幅が小さめのレンジ相場が多いのが特徴です。
レンジ相場の間はトレンドチャネルの下限で買い・上限で売り(レンジの安値圏で買い・高値圏で売り)を狙います。値幅小さめでスプレッドが広めである事からスキャルピングには向かないのでスワップポイントを意識した中長期目線でスワップがプラスの方向で引き付けてエントリーするのがお勧めです。
大きな値動きが出るとしたら「カナダとアメリカで金融政策の方向性に違いが見られる時」・「カナダとアメリカの関係が険悪化した時」・「原油価格の大幅変動時」となります。
【カナダとアメリカで金融政策の方向性に違いが見られる時】
カナダとアメリカの政策金利及びそれに関する声明を確認します。
カナダ中央銀行(BOC)は政策金利を決定するにあたって前年比での「消費者物価指数(CPI)」の上昇率が1%〜3%の範囲内で推移する様に調整する事を意識しております。従ってCPIの数値を確認する事が重要です。CPIが1%〜3%を上回れば利上げ、下回れば利下げを行う事となります。BOCが利上げすればカナダドルは買われ易くなります。
アメリカの中央銀行(FRB)は物価を安定させつつ雇用の最大化を目指しております。「消費者物価指数(CPI)」に加えてより調査対象が広範囲な「PCEデフレーター」「生産者物価指数(PPI)」「非農業部門雇用者数変化」「失業率」「平均時給」もアメリカの政策金利を決定する上で重要な経済指標です。
BOCはFRBと歩調を合わせる事が多く、FRBが利上げ・利下げを行えばBOCも追従する傾向にありますが、カナダとアメリカのインフレ度合いや景気の良し悪しを比較して追従に無理が生じる時がカナダとアメリカで金融政策の方向性に違いが見られる時となります。
【カナダとアメリカの関係が険悪化した時】
カナダとアメリカの要人発言を確認します。経済指標の様に事前に具体的なタイミングは分かりませんが、平時に唐突に喧嘩し始めるという事は考え難いので、有事の際のカナダとアメリカの国際的な立ち位置に違いがないかに注目します。
主な注目点は「カナダとアメリカが敵対関係になっていないか」「武力行使や経済制裁を受けていないか」「多額の出費が発生していないか」「貿易に支障を来していないか」です。軍事力・経済規模共にアメリカが勝っているのでアメリカが一方的に甚大な被害を受けているという場合以外はカナダとアメリカの関係が険悪化した時は「ドル買い・カナダドル売り」となる可能性が高いと考えます。
【原油価格の大幅変動】
カナダドルと原油は非常に高い相関性があり、原油価格の上昇は「カナダドル買い・ドル売り」となります。特に原油の中で取引規模1位であるWTI原油と連動し易いのが特徴です。
WTI原油の主な価格上昇要因は「原油の減産」「原油在庫量の減少」「リスクオン相場」「戦争や自然災害で産油国が被害を受ける」です。
WTI原油の詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
【 カナダドル円 CAD/JPY】
カナダドル円のトレードはカナダドルが「リスクオン通貨」・「資源大国」、円が「安全資産」・「資源輸入国」という明確な違いに注目する事になります。基本はリスクオンの時にカナダドル円は上昇、リスクオフの時にカナダドル円は下落とまります。
【株価とカナダドル円】
株式を買う為にはその株式を発行している国の通貨で買う必要があります。例えばカナダの株式を買う為にはカナダドルが必要となります。充分なカナダドルを持っていないのであれば他の通貨をカナダドルに交換する必要があります。その時に売る通貨に低金利の通貨を選ぶと資金調達し易くなります。
日本の経済は長年に渡り停滞している為、政策金利は長期的に低く設定されており、現在の水準から大幅に上昇する兆しは出ておりません(2024年9月時点)。この事は世界中の投資家達に広く認知されております。その為、株式購入の際に売る通貨は円が選ばれる事が多いです。これが好景気で株価が上昇傾向の時、つまり「リスクオン」の時に円が売られ易い要因です。
カナダの経済は着実に成長しており政策金利はインフレ度合いによって柔軟に調整する事が可能です。日本の様に長期的に低金利政策から抜け出せない状態ではありません。現在のカナダの政策金利は日本の政策金利を大幅に上回る水準に設定されております(2024年9月時点)。従って資金調達の際に円より優先してカナダドルを売る事を選択する理由はありません。寧ろ株価上昇などの「リスクオン」の時は円を売ってカナダドルが買われる傾向が強くなります。
好景気による資源価格の上昇と株価の上昇は連動する事からも「リスクオン」の時はカナダドルが買われ易いと言えます。
【資源価格とカナダドル円】
カナダは潤沢な資源を保有しており先進国の中で資源の輸出量がトップクラスであるのに対して日本は資源が乏しく輸入依存度が高い国です。資源価格が上昇すると資源を売る側のカナダの経済は潤うのに対して買う側の日本の経済は苦しくなります。
原油を始めとした資源価格が上昇傾向の時はカナダドル円は買い推奨です。特にWTI原油のレートが上昇傾向だとカナダドルは上昇し易くなります。
【円は信頼の厚い安全資産】
日本は世界有数の政情安定・戦争が無い・治安が良い・高い技術力・インフラ整備が整っている国です。GDPが世界4位の経済大国です。故に日本の通貨である円は世界的に信頼性の高い安全資産と見做されております。
世界情勢が不安定になった時や世界全体が不景気になった時は安全資産である円が他の通貨より優先的に買われる傾向が強くなります。
【まとめ】
カナダドルはWTI原油を始めとした資源価格との相関性が高い。
ドルカナダドルはカナダとアメリカが貿易によりお互い経済を支え合う関係にありレンジ相場になり易い。
カナダドルは株価上昇に連動して上昇し易いリスクオン通貨。円は低金利通貨である事に加えて安全資産という位置づけのリスクオフ通貨。従ってカナダドル円はリスクオンで買われ易くリスクオフで売られ易い。
#この記事は筆者(tetsuryu)の独自解釈であり内容の正確性を保証するものではありません。