FXの教科書を熟読しても中々FXで勝てなくて悩んでおられる方は少なくないでしょう。
その教科書に書かれている取引手法は貴方にあった取引手法ではないのかもしれません。
自分の精神的傾向にあった取引手法でなければFXで安定的に資産を増やし続ける事は非常に困難です。
今回の記事では人間全般の精神的傾向とそれを考慮した上で継続し易い取引手法をご紹介します。
- 【一般的なFXの教科書の内容】
- 【人は嫌だと感じるやり方にいつまでも耐えられない】
- 【自分が天才的な才能を持った特別な存在ではない凡人である事を認める】
- 【大多数の人達がやってしまう事、出来ない事】
- 【出来ない事をやろうとするのではなく、出来ない前提で出来る事をやって勝ちを目指す】
- 【お勧めのトレードスタイル】
- 【まとめ】
【一般的なFXの教科書の内容】
一般的なFXの教科書には以下の様に書かれている事が多いです。
①エントリータイミングを厳選しましょう。エントリー回数と利益の大きさは比例しません。
②勝率は重要ではありません。重要なのはリスクリワードです。
③難平は控えましょう。ポジションの追加は利乗せで行いましょう。
④順張りでエントリーしましょう。逆張りは控えましょう。
⑤含み損は素早く損切りし、含み益は利益を大きく伸ばしてから利食いしましょう。
⑥ハイレバレッジは危険です。レバレッジは低く抑える様に心掛けましょう。
如何でしょうか。「はっきり言って殆ど出来ません。」と仰る方は珍しくないでしょう。それもその筈。上記のルールを全て守り通そうものなら大変深刻な精神的苦痛を伴う事になるのですから。
【人は嫌だと感じるやり方にいつまでも耐えられない】
人は苦痛を伴うルールを徹底的に長期的に守り通す事が非常に苦手な生き物です。特にそのルールを自主的に守り通す。守らなくても誰にも責められる事はない。守っても誰にも褒められる事もない。ルールの中には今すぐにでも手を出したくて居ても立っても居られない中で長期間待つ事も含まれている。具体的にいつまで待てば良いか分からず、いくら待って結局駄目かもしれない。
この条件でルールを徹底的に長期的に守り通す事は困難を極めます。しかしFXこそが正に苦痛を伴うルールを徹底的に長期的に守り通す必要がある真剣勝負であり、たった1回の判断ミスで大損害を被る事も充分ありえます。
人が行き着く先は「自分のやりたい事を自分なりのやり方でやる」であり、やりたくない事を苦痛を伴うルールでやる事ではありません。
【自分が天才的な才能を持った特別な存在ではない凡人である事を認める】
天才という言葉はよく聞きますが、本物の天才は殆どいません。99%以上の人は凡人なのです。ならば大多数の人達に出来ない事は自分にも出来ないと考えるべきです。
根拠無く「私なら出来る」と自分を過信して出来る事前提の計画を立てて実行しても計画通りの結果にはなりません。短期的には運良く上手く行く事も起こり得るでしょうが、運だけで長期的に勝ち続けられる道理はありません。
【大多数の人達がやってしまう事、出来ない事】
大多数の人達はFXトレードに於いて以下の様な行動をとってしまいがちです。
①少しの変動で難平を多用する。
②利乗せはしない。
③値ごろ感でトレードする。(割安の時に買う・割高の時に売る。割安の時に売れない・割高の時に買えない。)
④指値は必ず入れて逆指値は外す。
⑤勝っている時は利益を失う事を恐れて消極的になってエントリー出来ずに折角のチャンスを逃す一方で、負けている時は損失を一刻も早く取り戻そうと躍起になって無暗矢鱈にエントリーする。
⑥大損失を負った場合、1回の短時間の利食いで取り戻そうとして大量にポジションをとったり、強引に大きな値幅を一気に利食いしようとする。
⑦入念な相場分析を怠ってチャートを開いたら何となくでエントリーする。エントリーした後で自分のポジションを正当化する根拠を探す。
⑧素早い損切りが出来ない。
⑨含み益を大きく伸ばせない。
⑩重要度の高い経済指標発表の時間が迫っている時に含み益だったら一旦決済出来るが含み損の場合は決済出来ずに「経済指標の結果に賭けるギャンブル」をしてしまう。
⑪直近の結果のみで取引手法の良し悪しを決める。特に悪い結果となった場合にその取引手法は駄目だと判断してルールを守らなくなる。
⑫逆張りばかりする。
【出来ない事をやろうとするのではなく、出来ない前提で出来る事をやって勝ちを目指す】
出来ないのであればやり様がありません。出来る事をするしかありません。出来ない事は出来ないと割り切って無理にやろうとせず、上記の【大多数の人達がやってしまう事、出来ない事】を参考にやってしまいがちな事をやっても問題無い様にルールに落とし込んで取引手法を構築します。
どんなやり方ならば比較的苦痛を感じずに抵抗無く受け入れて自然と実行出来るかを基準とする事が重要です。
【お勧めのトレードスタイル】
結論から申し上げますと以下の条件を満たしたスキャルピングでトレードする事をお勧めします。飽くまで一例です。自分のメンタルにマッチする様にアレンジしてご使用ください。アレンジするコツは「長く待つ必要が無い」「汎用性が高い」「勝率が高い」の3つを意識するとルールを守り易くなります。
①【分析は極力シンプルにする】
毎回複雑で時間の掛かる分析が必須となるとうんざりする事でしょう。しかも折角多大な手間暇かけて分析したのに結局チャンスが来る事無く落胆する。そんな精神状態では継続するのは困難です。そもそもFXの分析は複雑であればあるほど精度が上がるというものではありません。
複雑なファンダメンタルズ分析やトレードサインが中々でないテクニカル分析の使用を避けます。
②【含み益になったら素早く利食いする。長時間ポジションを握らない】
含み益を大きく伸ばすのが苦手であれば、含み益をとことん大きく伸ばす事を想定していないスキャルピングでトレードしましょう。
③【不適切なエントリーを避ける為の措置】
FXは方向性が明確な時に順張りでエントリーするのが基本です。
5分足チャートを見て直近約2時間の間トレンドが継続している事を確認します。継続していなければ他の興味がある事に意識を向けてチャートを見るのを暫くやめる事で根拠の乏しい闇雲なエントリーを避けましょう。
FXの事ばかり考えていると早くエントリーしたくて居ても立っても居られなくなるでしょう。
④【レート変動の勢いから直後の値動きを予測】
相場の世界には「落ちるナイフを掴むな」という言葉がある通り、 勢いよく下がっている最中に自分が買った瞬間にピタリと下落が止まり、一転して上昇基調となるという事は殆どありません。逆に言えば勢いよく下がっている最中に売りエントリーすると殆どの場合は速やかに含み益となるという事です。
レート変動の値動きの頻度が多い時にレートパネルを見て「レートの上昇頻度とその値幅」を「レートの下落頻度とその値幅」と比較して明らかにどちらか一方の勢いが強いと判断出来る時に順張りでエントリーします。
⑤【ピンポイントでエントリーを狙うのではなく一定のゾーンでエントリーする事を考える】
磐石に条件が揃った決定的なチャンスを狙い過ぎるといつまで経ってもエントリー出来ません。人は長く待つのが苦手なのです。特に具体的にいつまで待てば良いか分からない、いくら待っても結局駄目かもしれない、待たずにすぐ実行していたとしたら理想的な結果となっていたのに待ち過ぎて何の成果もあげられなかったという結果になると精神的ダメージはとても大きなものとなります。かと言って根拠不充分な状態で大勝負に出るのは危険です。
一度に大量のポジションを入れずに一定のゾーン内で分割してエントリーを行う事でリスクを軽減しつつエントリーチャンスを逃さない様にします。
⑥【逆指値は外すのでなく約定したら有利なレートでエントリーし直す】
逆指値を外してしまうのは損切りしたら損切りする必要のないレートに戻ってしまうのが嫌だからとい理由があるからです。ならば損切りした後に損切りする必要のないレートに戻ってしまっても損しない措置を講じれば損切り出来る様になります。
逆指値は外すのでなく損切りしたら有利なレートでエントリーし直す事を考えます。そうする事で損切りしなかった場合と比較して損切りしたレートからエントリーし直したレートの差分損失を減らせるメリットと、急激に含み損が増加する方向へ動いた際に損失を小さく限定的に出来るメリットがあります。天井値や底値近辺で損切りしてしまい有利なレートてエントリーし直せない事もありますが、損切りするポジションより残しておくポジションを多めにする事でエントリーし直せなかった損害を軽微に出来ます。
こまめに損切りしてポジションサイズを減らす事で少しの変動で難平してしまう癖があってもポジションサイズの肥大化を軽減する効果があります。損切りしても有利なレートでエントリーし直せば得するのだという考えがあれば損切りを受け入れ易くなります。
⑦【損失の上限を予め決めておく】
無限に損失に耐えるのではなく「ポジションサイズ」「含み損」「確定損失」「ポジションの保有時間」の4つの上限を決めておきます。上限に達したら直ぐにポジションを全決済します。
勝率が高くチャンスも多く短期間で成果をあげれるスキャルピングならば負けても短期間で取り返せるという自信を持つ事が出来ます。実際に短期間で取り返せる様に自分が一定期間内にどれくらいの利益が出せるのかを取引履歴から確認して利益の範囲内で損切りする様にします。
⑧【直近の損益に固執する事を避ける為の措置】
ポジションを全決済したら確定損益をリセットします。リセット前の確定損益の合計を見ない。意識しない。可能であれば画面上に表示しない。
⑨【割安かどうかは過去と現在の比較ではなく現在と未来の比較で考える】
後で見れば絶好の買い時だったという事はあっても、その絶好の買い時の最中には買えていないという事は多いでしょう。これは値ごろ感でトレードしているからです。値ごろ感で売り買いする癖が抜けない方は最近のレートと比較して今が値ごろかどうかではなく、近い将来のレートと比較して今が値ごろかどうかで考える様にする事をお勧めします。つまり過去と現在の比較ではなく現在と未来の比較で考えましょうという事です。
FXは「上がるから買う」、「下がるから売る」が基本です。明確な方向性が出始めて上がっている最中に買う事が出来ればその買ったレートが後で見ればお買い得なレートとなります。この後で見ればは遠い将来の話ではなく、上がっている最中の買いであれば高確率で速やかに訪れる近い将来の話となります。
トレンドの方向性がよく分からない場合にエントリーするなら値動きの頻度や値幅が大きくなり始めた時に小さいポジションサイズ(多少の変動でメンタルが揺らがない程に小さいサイズ)で順張りでエントリーし、含み益が増える方向へブレイクアウトしたら直ぐに利食いせずに含み益の増加に合わせて少しずつ利乗せします。含み損が増える方向へブレイクアウトしたらドテンします。多少の変動でメンタルが揺らがない程に小さいポジションサイズの損切りならば精神的に比較的楽ですし、次回以降のトレードで損失を取り戻すのも簡単です。
【まとめ】
苦痛を伴うルールを徹底的に長期的に守り通す事は非常に困難。殆どの人は出来ない。
自分が特別な天才ではなく凡人である事を認める。
大多数の人達に出来ない事を把握し、自分にも出来ないと認識する。
出来ない事を出来る前提で進めようとせず、自分に出来る事は何かを考え、比較的苦痛を感じずに抵抗無く受け入れて自然と実行出来るかを基準とした取引ルールを構築する。
#この記事は筆者(tetsuryu)の独自解釈であり内容の正確性を保証するものではありません。