テツリュウトレーディング

FX・CFDで勝つ為に必要なものはここにあり!

FXのファンダメンタルズ分析のやり方

 

 

 

【ファンダメンタルズを分析して得られるもの】

ファンダメンタルズ分析をしても具体的なエントリーと決済のタイミングは分かりません。分かるのは現時点から上昇傾向となる可能性と下落傾向となる可能性のどちらが高いかと、その傾向が何処で覆る可能性が高まるかです。具体的なエントリーと決済のタイミングはテクニカル分析で捉えます。

テクニカル分析だけだと後追いになってしまい、下手すれば高値圏で買って損切り、安値圏で売って損切りという形での右往左往となって上手く行かない事が多くなりますが、ファンダメンタルズ分析を行う事でトレンドの方向性とそのトレンドの継続し易さの把握に加え、トレンドの勢いが弱まったりトレンドが転換する可能性が高くなる時期をある程度事前に予測出来るので、単純に「上昇トレンドだから買い」という認識で買うのではなく「上昇トレンドだがここは一旦様子見」という判断が出来る様になり、勝率の低いエントリーを避けて無駄な損切りを減らす事が出来ます。

「FXに勝率は関係ない」と仰る方がおられます。例えば勝率30%、3勝7敗でもリスクリワード1:3(1回の利益が1回の損失の3倍)ならトータル損益はプラスになります。

しかしその7敗の部分を減らす事が出来ればもっと良い成績となります。3勝7敗ではなく3勝5敗でリスクリワード1:3だとしたらトータル損益はより大きなプラスになります。その様な事が出来るのでしょうか。出来ます。それがファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の併用であり、ファンダメンタルズを分析して得られるものなのです。

【レートを動かすのはファンダメンタルズではなく注文】

FXに影響を及ぼすファンダメンタルズ要因は多岐に渡りますが、ファンダメンタルズそのものが為替レートを変動させるのではなく、買い注文がレートを上昇させ、売り注文がレートを下落させます。その為、誰も注目していない情報ではレートの変動要因にはなりません。

【分かり易い情報に注目すべし】

殆どのトレーダーは天才でも大ベテランでもありません。理解する事が大変困難で分析に膨大な時間が必要な情報を用いて売り買いの方向性やタイミングを見極めようとしても、果たしてその方法で自分と同じ売り買いの方向性とタイミングでエントリーや決済を行うトレーダーがどれ程いるでしょうか。例え非の打ち所の無い完璧な説明が出来たとしても、他のトレーダーがその取引根拠に注目しておらず別のトレード手法でトレードしているのであれば自分の思惑通りにレートは動きません。その為、複雑な分析を行って他のトレーダーの裏をかこうとするのではなく、分かり易い情報を根拠に他のトレーダーが作り出している流れに乗って素直に順張りするのがお勧めです。

【金融政策と経済状況が重要】

注目すべきは分かり易くて中長期で強い影響を及ぼすファンダメンタルズ要因です。見るべきポイントは金融政策と経済状況です。特にアメリカを始めとした先進国の情報が重要であり、FRB(アメリカの中央銀行)・ECB(ユーロ圏の中央銀行)・BOE(イギリスの中央銀行)・日銀(日本の中央銀行)の関係者の要人発言とインフレ度合いを把握出来る経済指標、経済状況の良し悪しの推移を把握出来る経済指標の中から重要度の高いものに注目します。

【中長期で強い影響力がある情報に注目】

どんな情報がトレンドを長く継続させる可能性が高いのかを意識する事が重要です。個人投資家が容易に情報を知る事が出来る頃には大口の機関投資家達はとっくにその情報を把握してポジションを持った後となっております。例えば東京時間(9:00~15:00)に新たな円売り要因となる情報が出たとします。この時間帯は欧米のトレーダーが本格参入する前の時間帯ですので、まだ欧米のトレーダーの大半はその情報を根拠とした円売りを行っていない訳ですが、瞬間的にしか機能しない情報だと欧米のトレーダーが本格参入する時間となっても欧米のトレーダーはその情報に反応しないかもしれませんし、反応するとしても利益確定による反転を想定して逆に円買いを仕掛けて来る事も考えられます。その為、自分が「円売り要因が出たからドル円を買おう。」と考えた時に買ってもドル円はあまり上がらず寧ろ下がるという事が起こり得ます。トレンドを長く継続させる可能性が高い情報は金融政策に直接言及する要人発言と経済状況を如実に表す経済指標です。

【発表が予定されている情報を意識する】

突発的なニュースに市場が反応する事もありますが、いつ何が起こるか見当がつかない中で闇雲にポジションをとる事が合理的とは言えません。こういう情報が出るであろうという事が予め想定出来る内容が意識されており、意識されているからこそ市場が反応してレートが動きます。重要度の高い経済指標や要人の記者会見や講演の予定時間を確認しておきましょう。

【重要度の高い経済指標】

基軸通貨であるドルを発行するアメリカの特に重要度の高い経済指標を紹介します。

【インフレ度合いを把握出来る経済指標】

消費者物価指数(CPI)

生産者物価指数(PPI)

平均時給

【経済状況の良し悪しの推移を把握出来る経済指標】

国内総生産(GDP)

ISM製造業景況感指数

ADP雇用統計

非農業部門雇用者数変化

アメリカ以外の経済指標に関しましても、自分が取引する通貨を発行している国の上記の経済指標に相当する経済指標を確認しておきましょう。

【タカ派かハト派か】

金融政策が利上げ・金融引き締めへ向かっている場合及びそれを示唆する要人発言をタカ派と呼び、タカ派の場合はその国の通貨のレートが上昇する傾向が強くなります。逆に金融政策が利下げ・金融緩和へ向かっている場合及びそれを示唆する要人発言をハト派と呼び、ハト派の場合はその国の通貨のレートが下落する傾向が強くなります。

【ファンダメンタルズ分析で見極めるべきポイント】

大口のトレーダーが何に反応して売り買いどちらのポジションを持って何を決済のタイミングとして利用しようと考えているかを把握する事が重要です。重要度の高い経済指標や要人発言があった時間とその時のレート変動の推移をチャートを見て確認します。基本は先進国の景気の動向を如実に表す経済指標や要人発言の中から今後の金融政策に直接影響する内容を見てそれがポジティブかネガティヴか、既出の情報か新規の情報か、市場の予想通りかサプライズかを確認します。

経済指標は前回・予想・結果の数値がそれぞれ発表されますので、それを見て乖離が有るか無いかでポジティブ・ネガティヴのどちらであるかや、サプライズであるかどうかを確認します。主に予想と結果の乖離を見ます。乖離が大きい程レート変動が大きくなる傾向があります。

要人発言は過去の発言と現在の発言がどの様に変化してきたかを確認します。意識すべきポイントはタカ派(金融引き締め)かハト派(金融緩和)なのかという事と、同じ様な発言を繰り返しているのか今までと方向性の違う発言をしているのかです。タカ派からハト派への転換、又はその逆となる情報が新規で出ると大口は敏感に反応します。同じ様な発言ばかりだと反応が薄くなります。

大口が何を決済のタイミングとして利用しようと考えているかを把握する事が特に重要です。把握出来ればレートの急変動を捉えて短時間で大きな利益を得られます。大口は自分が現在持っているポジションと反対方向へ動くニュースが出るリスクを警戒してそのイベントが起きる事が事前に分かっている場合はその時間が近づいて来たら一気にポジションを決済する事がよくあります。重要度の高い経済指標や要人発言が予定されている時間の把握し、取引が活発になる時間帯になる前にポジションを決済しておくのが有効です。

 

 

【政策金利変更と経済状況】

【金融引き締めが可能かどうか】

インフレが進行している場合、つまり物価が上昇し過ぎている場合は利上げによって物価の上昇を抑えます。しかし利上げにはデメリットがあります。利上げをすると金利が上昇しますので、お金を借りた際に支払う利子が高額になります。景気が良くてお金に困っている個人や企業が少ない時であればその国の経済全体にさしたる影響を与えませんが、景気が悪い時に利上げしてしまうと企業の倒産や生活困窮者が沢山発生するリスクが高まります。その為、単純にインフレが進行しているから利上げすれば良いという訳ではなく、経済状況が良好な時でなければ利上げは簡単には出来ないのです。

要人が利上げすべきというタカ派発言をしてもその国の通貨のレートがあまり上がらない事がありますが、その要因の1つが景気が悪い中での利上げによって景気後退に陥ると懸念されているからという事情があります。単純に「要人がタカ派発言をしたから買いだ。」と考えるよりも経済状況が良好な国の要人がタカ派発言をした時に買いを狙うのが有効と言えます。

【金融緩和が可能かどうか】

景気が悪い場合は金融緩和により経済を活性化させる為に市場に多くのお金が供給されるようにします。しかし金融緩和にはデメリットがあります。お金を沢山流通させればさせる程その国のお金の価値が低下します。つまり物価高騰を招いてしまいます。自国内での物価高騰だけでなく、他国の通貨と比較して相対的に自国の通貨価値が低くなると輸入物価の高騰の要因にもなります。景気が悪く既にお金に困っている人達が沢山いる中で物価高騰により更に困らせる事になると金融緩和は逆効果です。その為、インフレが進行している中では金融緩和は避けるべきなのです。

要人が「当面の間は金融緩和を継続すべき」というハト派発言をしたとしても、CPIなどのインフレ度合いを把握出来る経済指標の結果が専門家の予想や前回数値を上回る結果であった場合はインフレ進行を抑える為に「金融緩和の規模を縮小するのではないか?」という思惑からその国の通貨のレートがあまり下がらない場合があります。単純に「要人がハト派発言をしたから売りだ。」と考えるよりもインフレ進行を上手く抑えれている国の要人がハト派発言をした時に売りを狙うのが有効と言えます。

【市場が反応したかどうか】

要人発言などの取引材料が出たとしても市場が反応せずレートの変動が見られない時もあります。反応が無いという事はその取引材料でエントリーしていないという事です。

反応したかどうか確認する方法は、まずはFX業者などが配信しているニュースや経済カレンダーを見て要人発言や経済指標があった時間を確認します。注意すべき点として「ニュースが配信された時間=要人発言があった時間」ではないという点です。実際に発言があったのは数分前から10分前程度のである事が多いです。

次にその内容と関連性の高い通貨ペアの5分足チャートを開きます。例えばアメリカの要人発言の場合はドル円やユーロドルの5分足チャートを開きます。市場が反応した場合はそれまでに形成されていたローソク足より明らかに大きなローソク足が出現して大きな値幅を伴った変動となっております。スプレッドが拡大している場合もあり、BITチャートとASKチャートのレートを比較してスプレッドの拡大の有無をチェックします。薄商いになる時間帯ではない中で拡大していた場合は市場が反応した可能性が高いです。

反応したと確認出来た場合は市場が何をトリガーにしてポジションを決済するつもりなのかを考えます。考え方の基本は以下の2つです。

【反応した材料を否定する材料が出た時】

【反応した材料の内容を裏付ける結果が出た際に更なる買い増し(又は売り増し)の材料が出なかった時】

どちらの場合も前触れ無く突発的に情報が出るケースには個人投資家では対応が間に合わないので、事前に具体的な時間が判明している経済指標や要人の記者会見や講演の時間を確認しておき、その前にポジションを決済してレートの急変動のリスクに備えます。

以下に市場が強く反応したファンダメンタルズ要因が出た場合に取るべき行動の具体例を解説します。

仮にFRB議長が以下の発言をしたとします。

「アメリカ経済は非常に堅調である。しかしインフレが深刻な水準にまで達しており、今後はインフレ抑制の為に迅速かつ大幅な利上げが必要であると確信している。」

明らかに強力なタカ派発言です。それをアメリカの政策金利の決定に於いて最も権限のある立場の人が発言したとなれば市場は猛烈なドル買いで反応する事でしょう。実際にこの発言をきっかけにドル買いが鮮明になったとします。この場合はドル買いでエントリーを狙います。

しかし永遠にドルを買い続ける訳ではなく、いずれ買いポジションは決済される事になります。その決済のタイミングがいつなのかを見極める為に上記の発言の「アメリカ経済は非常に堅調」という点と「インフレが深刻な水準」という点の2つのキーワードに注目します。どのキーワードに注目すべきかの考え方は上記の発言に限らず「景気の良し悪し」と「インフレ度合い」の2つの観点から考えるのが基本です。

タイミングの見極めに使用するのは事前に予告されている重要度の高い経済指標と要人発言です。

経済指標に関しましてはFX業者などが公開している【経済カレンダー】をご覧ください。具体的に何が重要度の高い経済指標なのかはこの記事の【重要度の高い経済指標】の項目で紹介しております。紹介している以外の経済指標であっても経済カレンダーで重要度が高いとされている経済指標も要注意です。

要人発言に関しましてはFX業者などが公開している【要人発言の予定リスト】(この通りの題名とは限りません。)をご覧ください。

仮にアメリカの【ADP雇用統計】の発表と、その後【FRB議長の記者会見】が本日行われるとします。ADP雇用統計は経済状況の良し悪しの推移を把握出来る経済指標です。ADP雇用統計の結果が悪く、FRB議長の「アメリカ経済は非常に堅調」という発言を否定する内容であった場合は【反応した材料を否定する材料が出た時】に該当してこの結果を決済のトリガーとして纏まったドル売りが出る可能性が高いので、ADP雇用統計発表前に一旦ドル買いポジションを決済してエントリーは控えます。

ADP雇用統計の結果が良かった場合はFRB議長のタカ派発言によるドル買いの根拠はまだ機能しているのでFRB議長の記者会見までまだ時間がある内は再度ドル買いでエントリーを狙います。時間が迫って来たらドル買いポジションを決済してエントリーは控えます。

FRB議長の記者会見の内容が「タカ派ではありますが目新しい発言は何もありませんでした」という場合は【反応した材料の内容を裏付ける結果が出た際に更なる買い増しの材料が出なかった時】に該当してドル買いの動きが弱まる事となり、利益確定の売りに押され易くなります。想定していたよりハト派だった場合は強烈にドルが売られる事もあります。

以上の様にして「アメリカ経済は非常に堅調」や「インフレが深刻な水準」の根拠が明確化又は崩れる可能性があるタイミングを見極めて、その時が訪れるまでまだ時間がある内はドル買いでエントリーを狙い、その時間が迫って来たらエントリーは避けるというやり方でトレードします。具体的なエントリーと決済のタイミングはテクニカル分析で捉えます。

中途半端にポジションを持った状態でそのタイミングが訪れる事がない様にエントリーから決済までの時間軸は時間の経過と共に短くし、今回のエントリー根拠でエントリーしたポジションはそのタイミングが訪れるまでに全て決済出来る様に調整します。

その時が訪れて勢いのある下落が発生したら勢いが出ている最中に売りエントリーします。大局が下降トレンドであると判断した場合はその売りポジションを長く保有しても構いませんが、他に強い売り要因が無ければ現在発生している下落は飽くまで纏まった利益確定の売りが出ているが故のものと考えて下落の勢いが弱まったら早めに決済するのがお勧めです。早めの決済であっても勢いのある下落の流れにすかさず乗れれば短時間で大きな利益となります。

【反応した材料の内容を裏付ける結果が出た際の補足説明】

「ポジティブな内容を裏付ける結果が出たとなるとより強く買われるのでは?」とお考えになるかもしれません。買われる所か売られ易い根拠をご説明します。

大口はポジティブ情報が出る事に期待して既に買っており、売りのタイミングを見計らっていたのです。これ以上為替レートが上昇する可能性が高い情報が出る見込みが無いという状態になった所で更に買う必要はありません。寧ろもう上がらないと判断したのであれば買っているポジションは売るべきです。大口は最後の買いに繋がる情報を待っており、それが出たとなると「それを待っていた。もうこれで期待していた買い材料は出尽くした。では売ろう。」となったのです。これが所謂「セル・ザ・ファクト」です。

【まとめ】

FXのファンダメンタルズで見るべきポイントは金融政策と経済状況。特にアメリカを始めとした先進国。

インフレ度合いや経済状況をを確認して利上げすべきなのか、利上げ出来るのか又は利下げすべきなのか、利下げ出来るのかを判断します。

経済指標や要人発言を確認してポジティブ・タカ派又はネガティヴ・ハト派かを判断します。

経済指標や要人発言を受けて市場が反応したかを確認します。

反応した場合は順張りでのエントリーを狙い、市場が何をトリガーにして決済するつもりなのかを考えます。主に経済状況の良し悪しや今後の金融政策の方向性の明確化が決済のトリガーとなります。トリガーが何かを見極めたらその情報が出る前に利食いを行います。

 

 

#この記事は筆者(tetsuryu)の独自解釈であり内容の正確性を保証するものではありません。